◆天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)
神代文字:天日草文字×正神字×正神字×左津真神字
【御利益】
天空神。開運招福・事業成就・所願成就・金運招来・その他、あらゆる御神徳をお持ちです。
※至高神とも云われる、宇宙の中央に存在するとされた最高神です。天皇陛下が宮中神殿でお祀りする別天津神・造化三神の最高位にあたる筆頭神です。
【祝詞】
はじめなく おわりなければ むなしあめ なほ そのさきの あめみおやかみ
【解説】
宇宙の中央にいるとされる最高神・至上神・根源神です。神名の「天」は天空・宇宙を、「御中」は崇敬をこめた中心を、「主」は主人・主君を意味しています。続けて読むと「大宇宙の聖なる中央にいる神」を意味します。天皇陛下が宮中の御神殿でお祀りしているうちの、高御産巣日神(タカミムスビ)、神産巣日神(カミムスビ)とあわせて造化三神と呼ばれ、天地開闢に関わった五柱の別天津神(ことあまつかみ)の一柱で、天地の初めに成った三柱の筆頭神です。「古事記」では、高天原に最初に出現した神としています。独神(ひとりがみ=性別がない、又はわからない神。)とされています。(別名:天之御中主命、天之御中主神尊、アメノミナカヌシノカミ、アメノミナカヌシノミコト、など。)
日本書紀の神代上・第一段、第一・第四の一書(あるふみ・異伝)では天御中主尊(アメノミナカヌシノミコト)とも書かれています。古事記・日本書紀以外の古史古伝ですと、伊勢国風土記(いせのくにふどき)、古語拾遺(こごしゅうい)等にも神名が書かれています。宇宙の根源の神であり、宇宙そのものや宇宙エネルギーを表している、ともされています。このアメノミナカヌシは「古事記」「日本書紀」どちらにも、姿を現してからその後のことが全く書かれておらず、倫理的な面も全く無く、至高の存在とされながらも信仰対象としての場面はとても少ない「目立たない神」となってしまっていましたが、現代になり宇宙への関心の高まりと時を同じくして、だんだんとその存在感を示し始めてきた神です。
アメノミナカヌシは、主に妙見社系、水天宮系、近代創建の三系統の神社でお祀りされています。中世に伊勢で発達した伊勢神道では、神道五部書などで伊勢神宮(外宮)の祭神である「豊受大神」の本体がアメノミナカヌシとされたことがあります。これは、伊勢神道の内宮と外宮の神職による一種の「内輪もめ」にも見える出来事の中での仮説でしたので、この説はその後うやむやとなっていくことになります。その後の「復古神道」においては天之御中主神・高皇産霊神・神皇産霊神の造化三神が「究極神」とされ、その中でもアメノミナカヌシ(=天御中主神)が最高位の神と定められました。この世が確定する「天孫降臨」以前の「万物の創造」を成されたのは造化三神によるものと定めたからです。
妙見社系では、北極星~北斗七星のエリアをアメノミナカヌシの仏教における化身「妙見菩薩」が坐する存在地点としており、岩手県・九戸神社、埼玉県・秩父神社、千葉県・千葉神社、熊本県・八代神社、などがアメノミナカヌシをお祀りする代表的な妙見社です。特に千葉県では、宗教法人の妙見社が50社以上もあります。(※小さいものは数え切れません)水天宮系は、元々はアメノミナカヌシと無関係でしたが、幕末~明治維新の前後に水天宮系のお社で新たに御祭神として加えられた例が多く見られます。明治初期には、東京大神宮などいくつかの著名なお社でも御祭神にアメノミナカヌシを加えています。出雲大社では、別天津神の祭祀が古くから行われていた記録がありますし、現在もオオクニヌシを囲んで坐す「御客座五神」の一柱として本殿にお祀りされています。なお古代の出雲大社が高層建築であったことは、アメノミナカヌシを始めとする別天津神の祭祀と深い関係があるとする説が強くあります。
上:宇宙を司る神がアメノミナカヌシ
右下:東京・日本橋(蛎殻町)の水天宮
左下:天御中主神社の鳥居前(鹿児島・霧島市)