- 神心書道の上達について -

2020/08/03

 

これもまた「コロナ騒動」の影響なのであろう。今年は例年よりかなり「入門コース」の申し込みが多いそうだ。

その動機が「困った時の神だのみ」だとしても、わたしはかまわない。「神代文字を正しく学ぼう」という日本国民が増えるのは、その個人にとっても、さらには国家にとっても、実はとても良いことだからだ。

 

そこで、今回のアメノマナイでは、神代文字=神心書道が上達する「一番の秘訣」を記しておくとしよう。この秘訣は、これから神代文字を体得しよう、どんどん使いこなそう、八百万の大神~天神地祇の恩恵を授かろう、そんなみなさんにはかなり役に立つ。

いや、例えば、あなたが仮に「神代文字に興味が無い」という人だとしても、役に立つ。

 

では、まず結論から記そう。「書く」という行為の上達は、あなたが「書いている」最中に起きている。

 

他にも、あなたが何かの良い「アイデア」が欲しければ、それはあなたが「考えている時」ではなく、目的とする「行動」をしている時に、一番良いアイデアが降りてくる。

 

この法則は、人が行うありとあらゆる領域、そしてその行為に当てはまる。別の視点から記すなら、神というのは「行動しない者」に己の智彗を与えたくないのだ。

 

親は子育てのマニュアル本を読むことではなく、毎日自分の子どもを育てながら「人の親」「教育者」としての素養や能力をスキルアップしていく。

 

音楽家なら、楽器の演奏を頭で考えることで上達することは無く、楽器を演奏することでこそ名手になっていく。

 

何ごとも、考えるだけではダメなのだ。行動することこそが、その道を正しくまっすぐに進むための「王道」なのである。

 

わたしの高校の同級生に、ひとつ典型的な事例があるので記しておこう。

 

彼はわたしと同じ高校を優秀な成績で卒業し、赤門で有名な某国立大学に入学。頭が良く、卒業後は世界的にも有名な大手製薬会社に入社した。その後、どのくらい経つだろうか。彼は、米国でMBAを取得し、順調に昇進もして、現在はエグゼクティブといわれる上級役員の職についている。

 

だが、本人はこの20年以上、いつか「起業しよう」と試行錯誤を重ねている。

 

かれこれ、20年以上である。

 

起業についての本を何百冊と読み、どんなビジネスをやろうかと考え、セミナーに行っては講義を受けて、市場調査を資料が山積みになるほど行い、すでに40本以上は、誰が見ても「すばらしい」というだけのビジネスプランを完成させている。

 

だが、現実は「なにひとつ」として成功していない。なにひとつ始まっていないのだから、あたりまえだ。

 

彼の思考では、いつも「このアイデアに将来性はある。だがうまくいくかどうか、それは計画がスムーズに運ぶかどうか、ライバル企業がどう動くかによる。」ここで、すべてが凍結=フリーズするのである。

 

学校一の秀才といわれた男がフリーズするのだから、いくら考えても、どれだけ悩んでも、もうそこから先は無意味。考えるだけ「時間のムダ」なのだ。

 

アタマの中で考えることに意味が無いわけではない。

 

短時間でも集中して考えれば、とても大きな閃きが起こることは大いにある。しかし、思考の限界点まで来たら、あとは時間を経過するごとにどんどん無意味な検討が始まってきて、どんどん「閃き」を「破壊」してしまう。

 

これが「投資」なら、その事案に対して調査できる事実をすべて机の上にでも並べて、わたしなら1日も考えたら「正解を出す」には十分だ。

 

前述の彼のような「キャリアチェンジ」をするのか、しないのか、ということを決めるのであれば、長くてもせいぜい1週間あれば十分だろう。それ以上考えても、考える時間には価値も、意味も、なにも無い。

 

行動しなければ、その道で上達しないのだからあたりまえだ。

ちなみに、わたしは彼の旧友として、願望があるならチャレンジした方が後悔がなくていいと思っており、いざ現実に始まってしまえば彼なら必ず成功する、もし必要なら手を貸してもいいとさえ思っている。)

 

見えない未来を暗闇に例えるなら、頭の中で考えたことは「懐中電灯」のような明るさだ。行動して起こる「閃き」は「サーチライト」のような明るさだ。懐中電灯では少ししか未来が見えないが、行動したらそこら中からずいぶん遠くまでが良く見えるようになる。

 

あなたたちは神心書道=神代文字を学びたい、上達したい。いずれは神心のエネルギーを自由自在に扱えるようになりたい。そう思って当流に在籍しているのであろう。

 

断言しよう、それは可能である。

 

では、もっともっと「書く」ことだ。書いて、書いて、徹底的に書くのだ。とことん行動するのだ。すると、頭で考えているだけでは感じられない神心の世界、その「真理」というのが見えてくる。

 

そして...

 

あなたが、いったんその真理の片鱗でも感じ始めたならば。その後の成長は、いきなり、とてつもなく早くなる。

 

きっとあなたは、驚くだろう。

 

 

秀麻呂