- 食べることは生きること -

 2022/07/01

 

梅雨が明けると夏本番。暑くなると、わたしの場合は「ビール・ステーキ・かき氷」の比率が日々の食生活において増えてくる。すると、周囲の人からは「カラダに気を遣え」「食生活に気を配れ」というような御言葉をもらうようになってくる。ありがたいとも思うのだが、ちょっと言い訳をしておきたい。

 

心配してくれるのは嬉しいのだが、これでもわたしは「食学」の考案者である。IFCAの創業者である。幕末名医の石塚左玄には負けるかもしれないが、水野南北の「節食開運説」を分析できるくらいの知見はそれなりに持っている。夏場にビール・ステーキ・かき氷の量が増えたところで、太りもしないし、ちゃんと食生活のバランスもトータルでとっている。

(最近リバイバルしているアーユルヴェーダのドーシャでいえば「ヴァータ/風」「ピッタ/火」がわたしは強めなので「カパ/水」を夏場に増やしても問題ないのだ。)

 

そこで今回のコラムでは、趣向を変えて「食」をテーマに原稿を書くとしよう。なお「食」のテーマは社会情勢的に購読率が高いので、3回くらいに分けて更新しようかとも考えている。

 

さて、ということで。

 

昨今はコロナ騒動の余波から在宅ワーカーが増えたこともあり、全国的にサプリメントや健康食品のプロモーションが盛んである。しかし、テレビ・ネット・新聞・雑誌・etc、、、あれら宣伝文句を信じて購入する人が異様に増加するのを見て「鵜呑みにしていいのか?」と思う人からの質疑も増加している。

 

よし今号のコラムは「サプリメントは効くのか?」をテーマにしよう。

 

本来ならば食生活で摂るべき栄養素。コレらをサプリメントで補う行為は現代人に珍しくなくなり、コロナ騒動以降とくによく広告を見るのがグルコサミン、DHA/EPA、カルシウム、亜鉛やマカなどだろうか。

 

例えばグルコサミン。

 

これは「軟骨」を作る成分で、エビ・カニ・山芋・オクラなどがグルコサミン含有率の高い食材だ。それをもっとカンタンに摂取したいというニーズに応えようと、複数の事業者がグルコサミンのサプリメントを宣伝・販売している。

 

だが、、、2017年にブリティッシュメディカルジャーナルという医学誌に掲載された論文では「分析した結果、サプリメントにグルコサミンを摂取する効果はない」とすっぱ抜かれたことがある。なぜかG7メンバー諸国の中では日本だけ話題にならないのだが、通販CMでグルコサミンのサプリを販売している事業者には「効果がない」ことが証明されたサプリメントを販売している、という大きな法的瑕疵があるわけだ。

 

米・アイビーリーグの代表格、コーネル大学にコリン・キャンベルという教授がいるのだが、この人も「複雑な栄養素を含んだ食品を食べることと、サプリメントを摂取することはまったく違う。例えば抗酸化作用の高いベータカロチンはガンへの抵抗力を高めるとされている。実際にベータカロチンの含有率が高いニンジンを食べているとガンになるリスクが下がることがわかっている。ところがベータカロチンをサプリメントで摂取してもまったく効果がなかった。むしろ研究ではベータカロチンをサプリメントで摂取したら肺ガンの発生率が上がるという散々な結果だった。」と述べている。

 

ようするに「栄養素だけ」を取り出したサプリメントでは効果がないのである。いや、むしろ健常者が摂取しては危険なサプリメントがたくさんある。

 

以下、ベスト(ワーストというべきか)20を選抜して明記するので、あなたやあなたの周囲に、健常者にも関わらず宣伝文句に引っかかって摂取している方がいれば、今すぐ「ストップ!」といってあげてもらいたい。

 

では、記そう。

 

第20位:セントジョーンズワート~「元気が出る」というキャッチコピーが多いサプリメントだが、危険である。(元気が欲しいならお笑いライブでも見る、又は神心書道の書術の方が安全・確実である。)元気を求める人はストレス過多な人が多く、軽い不安神経症の人も多い。セントジョーンズワートと市販の抗不安薬を併せると、不安感が増加して不眠になるケースが頻発している。

 

第19位:プラセンタ~肌の再生力を高める効果があるというが、サプリメントでは効果なし。直接皮膚に注射するか、食事として摂取しないと人間の肌に対するメリットは出にくいというのが現実である。

 

第18位:コラーゲン~肌に潤いや弾力を与えるといわれたコラーゲンだが、じつは他のタンパク質と一緒に消化されてアミノ酸に分解されていることが判明しており、結論としてサプリメントでの摂取に効果はない。

 

第17位:ヒアルロン酸~注射するなら効果はあるが、サプリメントの摂取では肌も目も「潤わない」ことがわかっている。サプリメントに効果はない。

 

第16位:イソフラボン~更年期障害の改善によく出てくる名前だが、ちゃんと食事から摂取しないと危険である。サプリメント単体での摂取は乳がんや子宮内膜症のリスクを高めることにつながる。

 

第15位:酵素~ダイエットのさいに栄養補給をすると謳われるが、胃酸により酵素はその働きを失う。ただのアミノ酸になるので、サプリメントでは効果なしというのが真実である。

 

第14位:黒酢サプリ~胃腸に穴が開く危険性がある。疲労回復や血流改善の効果はサプリメントでは望めないので、効果なし。

 

第13位:ロイヤルゼリー~世界規模でアナフィラキシーショックが多発している。免疫力を高めるどころではない、危険なサプリメントである。かくいうわたしも、20代の頃にロイヤルゼリーが原因で軽いアナフィラキシーショックを起こしたことがある。

 

第12位:イチョウ(葉)~認知機能低下の予防や認知症予防がよく謳われるが、検証した研究結果がない。ようするにイチョウと認知症にはなんの関連性も見いだせず、効果なし。

 

第11位:マカ~滋養強壮・精力増強の効果はあるのだが、元々しょっちゅう摂取する前提の成分ではないので、常用が危険。現代男性の肝機能障害発生率を引き上げている一因を疑われている。薬剤性肝障害の患者に一番多い。

 

第10位:ウコン~食事から摂取すべき成分である。サプリメントでは濃度が高すぎて肝機能障害を起こす人もいる。肝臓を丈夫にしたいからウコンのサプリを飲み始めた、などという人は今すぐ中止すべきである。

 

第9位:クロレラ~健康に良いとかガン予防に良いとかいわれているが、サプリメントではその効果は出ない。ガン予防を謳えば売れるという典型的なサプリメントだったが、食事から摂取しよう。

 

第8位:ビタミンA~皮膚や粘膜、健康維持などがキャッチコピーになりやすいが、体内に蓄積されやすい成分なのでサプリメント摂取は危険。腹痛・嘔吐を引き起こす事例が多発している。

 

第7位:ビタミンD~免疫力を高めるサプリメントとしてコロナビジネスに乗っかってきたサプリメントの代表格。だが血中カルシウム濃度が上がり、高カルシウム血症を引き起こすので危険。

 

第6位:ビタミンC~Aと同じく皮膚や粘膜、健康維持、さらには美白なども謳われるが、そもそもビタミンCは人間が吸収できる量が限られており、許容量を超えると排泄される。よってサプリメントはムダ。

 

第5位:亜鉛~食事から摂ろう。免疫力や精力を高めるにはいい成分なのだが、摂りすぎると銅が不足するため貧血症や毛髪に異常が出る。サプリメントはダメ。

 

第4位:鉄~鉄分補給/貧血予防のサプリメントは、便秘・嘔吐を引き起こす原因になりやすい。食事から摂るのが難しい成分ではないので、わざわざ危険なサプリメントに手を出す理由もない。

 

第3位:カルシウム~サプリメントで摂るのは危険。骨が強くなる前に、そんなに摂れば高カルシウム血症を引き起こす。原因不明の腹痛を抱える子供は親がサプリメント好きだという仮説も出てきている。

 

第2位:DHA/EPA~頭が良くなる、脳が活性化する、中性脂肪が減る、などといわれる成分だが、過去に大規模調査が行われておりサプリメントでは有効性が確認されていない。食事で摂るべきである。

 

第1位:グルコサミン~関節痛の軽減・改善を謳っているが、サプリメントでは効果なし。食事で摂るべき成分である。

 

と、こんなところだ。

 

読むとわかっただろうが、結局は「質の良い食生活」をしていればすべてクリアなのである。インスタントな食生活にサプリメントを併用して「健康」が守られるわけがない、ということだ。

 

あなたのカラダはアナタが食べたモノでできている。健康に高いお金を使う必要はないと思うのだが、知恵と知識については必須なのだ。

 

 

秀麻呂