- 神代文字の種類と名称 -

この頁下部では、日本において漢字伝来以前に存在した古代文字、いわゆる「神代文字」の名称と種類をアイウエオ順で記載しています。それぞれの名称は発見された年代・地域・発見者や命名者によって同系の文字でも違いがありますので、書生の皆さんが呼称として見聞する確率が高いと思われるものを優先的に列記しています。現在判明しているもので、古代文字の字体数はおよそ「35種類」あるとされます。 このうち神代文字としては「書き手」の個性、微妙な差異などを統合していくと、およそ18種類程度に集約することもできます。その中には藤原-中臣アメノコヤネに連なる「天津神」と「国津神」から後裔へと相伝されてきた真正「神代文字」として9系統があり、他に修道を経た者だけが書することを許された禁忌の神代文字が1系統あるとされています。なお旧説として、漢字伝来以前の古代日本には文字が無く、ユーラシア大陸東部から漢字が伝わり後進国だった当時の倭国を始めとする今の日本が文字を得た、とされる仮説が、これまでは現代日本学校教育上で正しいとされてきたため、古代文字‐神代文字の存在は第二次世界大戦後の歴史教育でほとんど触れられることがありませんでした。ですが、実は漢字伝来以前の古代日本にはれっきとした文字がありました。ただ当時の古代日本小国の乱立期にあったと考えられ、中央集権国家ではなく地方ごとに有力な豪族が治める小国群の連合国家に近い体制だったものと推察できます。そして使用されていた文字は「国家」として統一された全国共通の文字が使われていたのではなく、豪族が治めるそれらの国々で神代文字から派生した独自の文字が、各々の地方ごとにバラバラに使用されていたものと考えられます。その後、律令制を目指して中央集権国家となった当時の日本国では、国家をまとめていく過程で文字を統一しないと統治をスムーズに行うことは難しいと考えます。しかし、すでにある文字のどれかを統一文字にすると必ず反対する実力者も現れる。戦争は国力低下に繋がるので、なんとか平和文字を統一する手立てはないものかと頭を悩ませました。そこで、海の向こうにあった漢字という当時の日本国内では使われていなかった文字を新たな中央集権国家の文字として採用し、足りない表音文字として「かりな」(=今のカナ文字の初期の呼び名)が作られていった。その普及手段として仏教を活かすために神道との神仏習合が立案された。平安時代中期に現在「三蹟-さんせき」と呼ばれている書家「小野道風」「藤原佐理」「藤原行成この3人の名手が今に連なる書風書法を完成したとされており、当時の時代背景社会情勢を照らし合わせるとこのように読み解くのが一番合理性が高いといえるでしょう。そして「神代文字」は時代を経ていく過程で後裔神職や都から離れて傍流となった一部の貴族階級武士階級へと引き継がれていき、日常から遠ざかった文字=必要な時にだけ使われる神秘な「書術」の文字となっていきます。例えば、著名な神社仏閣に今も保存されている天皇公家武将たちの奉納文もその一例です。なお古代文字としてはおよそ35種類とされていますが、エネルギー溢れる真正の「神代文字」としては、9系統+特別な1系統に分類される、と考えてもよいでしょう。

上からアイウエオ順です。

阿祖山文字 - アソヤマモジ

天名地鎮文字 - アナイチモジ

天日草文字 - アヒルクサモジ(別称:阿比留草文字/読み同じ・他)

天日文字 - アヒルモジ(別称:阿比留文字/読み同じ・他)

天越根数文字 - アメコシネカズモジ

天津神字 - アマツシンジ(別称:阿波文字/アワモジ・他)

出雲文字 - イヅモモジ

斎部文字 - イムベモジ(別称:忌部文字/読み同じ・他)

蝦夷異体文字 - エゾイタイモジ(別称:アイヌ文字/アイヌモジ・他)

大神神字 - オオミワシンジ(別称:大御神字/オホミシンジ・他)

春日文字 - カスガモジ(別称:神宮文字/ジングウモジ・他)

片神名文字 - カタカムナモジ(別称:神津文字/カミツモジ・他)

吉備文字 - キビモジ

杵楔文字 - キネクサビモジ

九意卜文字 - クイボクモジ

楔文字 - クサビモジ

惟足文字 - コレタリモジ

盛火見文字 - サカリヒミモジ

左津真神字 - サツマシンジ(別称:薩摩神字/読み同じ・他)

正神字 - セイシンジ(別称:正神界直伝字/セイシンカイジキデンジ・他)

種子文字 - タネコモジ(別称:伊数切須文字/イスキリスモジ・他)

種子草文字 - タネコクサモジ

筑紫文字 - ツクシモジ

対馬文字 - ツシマモジ

豊国文字 - トヨクニモジ(別称:九鬼文字/クキモジ・他)

中臣文字 - ナカトミモジ

南朝文字 - ナンチョウモジ

陽文字 - ヒモジ

日向神字 - ヒムカシンジ(別称:陽墨絵文字 - ヒスミエモジ・他)

秀真文字 - ホツマモジ(別称:ヲシテ文字・伊予文字/イヨモジ・他)

三輪神字 - ミワシンジ

物部文字 - モノノベモジ

八幡神字 - ヤハタシンジ(別称:守恒文字/モリツネモジ・他)

琉球古字 - リュウキュウコジ

龍体文字 - リュウタイモジ(別称:竜文字/タツモジ・他)

 

※古代文字・神代文字の種類や呼称については諸説ありますが、藤原北家世尊寺流 - 神心書道ではこれまでの調査・研究の成果として上記を採用しています。また藤原北家世尊寺流第十八代の家元であり神心書道を考案した宗主の秀麻呂」は、神代文字を描く書道家としてアーティスト活動をする傍ら、主として日本神道の神々と祝詞・神言をモチーフにした作品を描いております。(試作や依頼による創作は除きます)伴い、古くて新しい現代の書アート「神字画」という新たな入口によって、日本神道・神心書道・神代文字がより多くの人々の拠り所となってほしい。よりわかりやすく、現代の日本国民、さらには世界の人々にも親しまれてほしい。このような願いから、それぞれの作品におけるモチーフとなった神々の解説、ホームページ・メールマガジン・SNSや印刷物も含め、情報発信の記述にはなるべく現代語、又はそれに近い表現、時には時事表現も交えて記しております。記する内容は、これまで現代の学術上において日本最古の歴史書とされてきた「古事記」「日本書紀」の記紀に加えて、秀麻呂が書道師範であった母親から譲り受けた古教本・古文書や、当人が調査・研究のために収集してきた数多くの歴史資料、各地の民俗伝承や進上された文献、古代の遺跡・遺物、調査記録や取材資料、これらを検証した上で、心理学と歴史学・考古学の視点から当時への推察も含めたものとなっております。このような理由により、場合によっては他の文献・資料などとは記述に差異が見られることもありますが、向学による他説を否定するものではありません。あらかじめご承知おきくださいますようにお願いいたします。また、モチーフとなる神々は順次追加していく予定です。なお国際平和や社会貢献・文化貢献、その他何らかの公益性を目的とする場合など、ニーズの内容・意向によってはその作品を優先して創作・公開することがあります。