2016/07/01
今日は、目の前のカベに悩んでいるというあなたに向けて書こう。
「四面楚歌」という四字熟語がある。きっと聞いたことがあるだろう。
元は史記の「項羽本紀」にある故事で、紀元前に楚の項羽が劉邦率いる漢軍に垓下(がいか)で包囲される。前後左右四方の漢軍から楚国の歌がおこるのを聞いて、楚の民はもはや漢軍に降服したかと嘆いた様をいう。
この故事により、敵の中に孤立して、助けのないこと。周囲が敵、反対者ばかりで味方のいないこと。孤立無援の様子などを「四面楚歌」というようになった。
そして現代。
学校、職場、地域、家庭、四面楚歌を感じている人が増えているのだな、と思うことが数多くある。
だがちょっと考え方を変えてみよう。
項羽は天才であった。代々楚の将軍を輩出した名家の出身で、自らも才気に溢れた当時最高ともいえるほどの軍略家であり、性格は太っ腹で身内には優しく、正義感が強くて、体躯が大きな二枚目であった。
その反面、敵には容赦ない残酷な仕打ちをするし、プライドが邪魔をして良い進言を聞き入れなかったり、狂気じみたところがあったのも事実だ。
ただ、現代の新鋭たる起業家しかり、諸外国のリーダーしかり、今の時代なら項羽タイプが時代の英傑になることのほうが多い。
現代日本でライバルに命までとられるということは、おそらくないであろう。約束を違えた相手には裁判で決着をつければよく、それならば項羽と劉邦の対決場面では項羽がほぼ全勝だ。劉邦は項羽を何度もだましている。
項羽は時代の「出る杭」であった。いつの時代も出る杭は叩かれやすい。「出る杭を伸ばしましょう」などというキャッチコピーは一見聞こえがいいが、その実は「但し、主体たる者にとって都合の良い範囲で」という前書きがある。
だがしかし。飛びぬけて出てしまえば、その杭は誰も叩けない。
今、カベを感じているあなたは「天才」なのだ。そんなことない、などと謙遜することはない。本当のことだ。
秀才は「カベ」を感じない。やりすごすからだ。
凡人は「カベ」を感じない。他人にゆだねるからだ。
愚者は「カベ」を感じない。わからないからだ。
「カベ」とは向上心があるから感じるものだ。自力で何とかしたいと思うから感じるものだ。それでもどうにもならないから「カベ」なのである。
ここで一つ、ヒントを記しておこう。
四面楚歌、前にも後ろにも、右にも左にも、行けない。カベしかない、道が無い。
ならば、上に昇ればよいではないか。
それは、もしかしたら進路を変える、相手を代える、職場を代える、企画を代える、顧客を替える、商売を替える、事業を変える、住所を変える、ということかもしれない。
とにかく今、あなたには「今までとは違うなにか」をする時が来ているのだ。そう思って、よく考えていただきたい。
なぜなら、時の節目を象徴するのが「カベ」である。
いま、あなたが今まで通りのことをいくら一生懸命にがんばったところで、せいぜい±ゼロである。プラスがあれば、必ずマイナスが発生する。
だが「四面楚歌」だと思うなら、それはあなたのチャンスである。但し、進む方向は前後左右のどれでもない。
道は「上」にある。よいか「上」であるぞ。まずは外に出て「上」を見てみよ。
秀麻呂