- 陰陽道と安倍晴明 -

 

 

さて節分が過ぎると、いよいよ「五黄の寅」の一年が始まるわけだが。今年は陰/陽がかなり両極端に振れるであろうこともあり、今回のコラムはちょっと「陰陽道」について記してみようか。

 

陰陽道といえば、みなさんが最初に思い浮かべるのは「陰陽師=安倍晴明」なのであろう。そういえば、今月2/21(月)は安倍晴明の誕生日でもある。(※921年2月21日/旧暦:1月11日)

 

ちなみに京都の晴明神社に行くと「桃」のオブジェがある。厄除桃とされているが、福を招くエネルギーを発しているので、正しくは「除災招福の桃」である。なかなかの神器にも近い福徳が期待できるので、もし京都に行くことがあれば、参拝を推奨しておきたい。

 

 

さて、話を戻して陰陽道であるが。

 

まずはじめに。現代日本人が陰陽道という語を見聞すると、なぜか「中国由来の呪術みたいなもの」というイメージを持つ人が多いのだが、それは間違いである。

実際には、世界で一番最初に「陰陽道」を研究した国こそ、当時の日本であり、日本の科学研究における学習制度の先駆けといえるのが「陰陽道」という学術であった。

当時の陰陽五行説をユーラシア大陸から採用したのが誤解を招きやすくなっている理由なのだが、実際はそれだけのことである。

 

もう少し掘り下げて記しておこうか。

 

まず「7世紀後半の日本」では、世界に先駆けて「大学」が教育機関として設立され、これを「大学寮」と呼んだ。

この大学寮で学ぶ主要な教科は明経道(儒学)と明法道(律令)そして、陰陽道であった。

 

さらに少し遅れて「陰陽寮」が設立され、天文道や暦道とを併せ「陰陽道」の研究が盛んとなった。

なにせ当時の主要な産業だった「農業」に欠かせない研究なのだから、当時のエリート=秀才たちが集められた。

 

とはいえ、国家運営に必要な「技術や知識のひとつ」という程度の認識が当時の陰陽道におけるイメージであり、宗教的要素や変わった思想、神術/魔術という印象が古文書群にはあまりない。

とはいえ多少あることはあるのだが、現代人がイメージするならば、東京/霞が関の省庁における上級国家公務員の共通知識、というところが妥当だろう。

 

現代人がイメージする呪術や占術、予知や祈祷、除病や除災、御祓や式神などは、早い話が陰陽道におけるほんの一側面でしかなく、本来は「自然災害を予測して対策するのが目的の研究だった」というのが正しい見解だ。

 

六壬神課(りくじんしんか)という「太陽」の黄道上の位置と指標、時刻を示す十二支、天地盤などを総じて天文の情報を総括し、これに物事の序列を出すための「干支術」を組み合わせて割り出す「統計学」の判定のことを「占う」と呼称したのである。

 

現代でも「未来を占う」という語が必ず「占い」を用いるか?といわれれば、違うであろう。

科学や数学、多数決や議論で「未来を占う」ということの方が多いであろう。このように、非現実的なオカルト研究などではなく、当時としては画期的な最先端の学術であったのだ。

 

陰陽道はいたってマジメな研究だったのである。

 

 

平安時代のヒーローにも見える陰陽師「安倍晴明」が、この陰陽道のビッグネームだということは間違いない。正しい知見である。「大化の改新」の新政権で左大臣となった「阿倍倉梯麻呂」が祖に連なっており、朝臣の家系。師は賀茂忠行/賀茂保憲で、のちに源氏の流れも汲んだ「土御門家」の祖である。

 

安倍晴明は花山天皇/一条天皇や関白/藤原道長の信頼厚く、道長の「御堂関白記」など当時の貴族の日記にもたびたび登場しているくらい、優秀な陰陽師であった。

 

だが、陰陽師だから特別な出自ということはまるでなく、安倍(宿禰)晴明と記録されている古文書が多いことから秦氏や蘇我氏・物部氏のような古代豪族の末裔であることは認められるが、中級貴族の非・嫡流出身なのである。

 

993年、一条天皇の病をすぐに回復させた。1004年、夏の大干ばつで「五龍の術(祭祀)」を用いて雨を降らせ、飢饉を救った。それぞれ一条天皇より褒美の御下賜品を賜った。などなど、記載として古文書群にはあるのだが、実際に出世しだしたのは主計寮の責任者「主計権助」になった頃からなので、天文学の計算能力が実際には秀逸だったのだろう。

 

確実にいえるのは、調査・研究・計算に基づく高練度かつ高精度な術の使い手であったということだ。その時代の最大・最高の英知を以て、ものの見事に当時の日本における困難な日々を打開し続けたのが、安倍晴明なのである。

 

 

転じて、現代日本である。今日も続くコロナウィルス騒動におけるバカバカしい迷走ぶりを安倍晴明が見たら、どう思うだろうか。正常な社会にすべく、数多の挿げ替えを行うだろうか。

 

「ニューリーダー」の出番が早まるのかもしれない。そうなれば、次はT・S女史なのだろう。

 

 

秀麻呂