- Amenotajikarao -

◆天手力男神(アメノタヂカラオノカミ)

 神代文字:天日草文字×大神神字×左津真神字

  

御利益 

力神。能力向上・技芸上達・家内安全・開運招福・五穀豊穣・除災招福・所願成就

※剛力の神。八百万の神々で一番の腕力を持つと云われました。現代では格闘技・スポーツの世界で成功するのに重要な神です。

祝詞

かけまくもかしこき あめのたぢからおのおおかみ の おおまえを 

おろがみまつりて かしこみ かしこみ も もうさく  

おおかみの ひろき あつき めぐみを かたじけなみまつり 

たかき とうとき みおしえのまにまに 

なおき ただしき まごころもちて まことのみちに たがうことなく

おいもつわざに はげましたまい いえかどたかく みすこやかに 

よのため ひとのため に つくさしたまえ と

かしこみ かしこみ も もうす

 

 

解説 

「スポーツの神」「力仕事の神」として、著名なトップアスリート達が敬愛するアメノタヂカラオ。近年では、2011年発売の「ももいろクローバーZ」ファーストアルバム「バトル アンド ロマンス」に収録されている楽曲「天手力男」で、一躍と世の注目を浴びることになった神です。「天岩戸」をこじ開けて引きこもっていたアマテラスを洞窟から引きづり出した、という逸話を持つ「文武両道」の怪力大臣。アマテラスが孫神・ニニギの天孫降臨に伴い、道を外さないようにとアメノコヤネらと共にお目付役として随伴させた天上界の最高幹部の一柱。そして天上界で最も腕力の強い力神です。(別名:天手力雄命、など。しかしアメノタヂカラオは、地上に降り立つとなぜか太古の歴史から消えていきます。そのため、別名が極端に少ない神です。)

 

 

アメノタヂカラオは、伊勢神宮・皇大神宮(内宮)の相殿や、戸隠神社、佐那神社、長谷山口坐神社、白井神社、雄山神社、手力雄神社、戸明神社、天手長男神社、神命大神宮那須別宮、などにお祀りされています。古事記では「手力男神は佐那那縣に坐す」と記されていますが、これは延喜式神名帳にある佐那神社のことと云われています。アメノタヂカラオが天岩戸を開いたとき「えい、やっ!」とばかりに戸となっていた大きな岩を投げ飛ばし、それは日本のほぼ中央に落ちました。その大きな岩が、現在の長野県・戸隠連峰にある標高1,904mの戸隠山になったと云われています。アメノタヂカラオは岩が落下した地点を指さして「今からあそこが私の家である」と、現在の長野県・戸隠神社あたりへ移ったそうです。その後、地元の人々と交わり人々を愛したことから、神から人へと降る道を選ぶと共に、歴史からは遠のく道を選んだアメノタヂカラオですが、現世の人々は芸能の中にその勇壮な姿を描き出しました。例えば、神楽の舞はその一つです。

 

 

国の重要無形民俗文化財に指定されている宮崎県・高千穂神楽三十三番では、代表的な四番(「手力雄の舞」「鈿女の舞」「戸取の舞」「御神体の舞」)のうち二つもアメノタヂカラオが主役で、永遠の人気ぶりを想像させています。神楽では、天岩戸からアマテラスを引きづり出すきっかけを作った演出になっており、「岩戸開き」は全国各地で重要な演目の一つになっています。ただアメノタヂカラオの「力」とは、物理的な意味での「強い力」だけを意味しているのではありません。真の力を出すには、切れのある頭脳、役に立つ情報、創造性といった総合的な「知性」が重要なのです。アメノタヂカラオは天上界の最高幹部の一柱であり、すばらしい知性を持っています。「真の力」には、剛力と知性の両方が備わっているということを教えてくれる神。それこそがアメノタヂカラオなのです。そして多少強引なやり方でも、行動に移すべき時。後のことなど考えてはいけない、今この時に持てる全ての力を出し切るべき時。そんな時には、アメノタヂカラオに頼むとその者に助力する。そのように云われる神なのです。

左上:アメノタヂカラオ像

右上:戸隠神社・奥宮(長野県・長野市)

右下:天岩戸を開く神々

左下:アメノウズメとアメノタヂカラオ